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2018年5月13日日曜日

映画「マルクス・エンゲルス」を鑑賞する人のために(3)

平野喜一郎

© AGAT FILMS & CIE ‐ VELVET FILM ‐ ROHFILM ‐ ARTEMIS PRODUCTIONS ‐ FRANCE 3 CINEMA ‐ JOUROR ‐ 2016

この作品の魅力

二十代の二人は人柄においても学問においてもまだ未熟であり、後年の確信に満ちた理論家・革命家ではない。映画では、マルクスは貧困に苦しみ「金も気力もない」とぐちをこぼしている。エンゲルスは社会主義者としての自分と工場の経営者である存在との矛盾に苦しんでいる。しかしマルクスにはイェニーという妻がいるしエンゲルスにはメアリーという同伴者がいる。二人の素晴らしい女性の協力によって、彼らの仕事は実現したのである。
マルクスとエンゲルスという人物についてフィクションをまじえながら、いかにもそんなことがあっただろうなと思わせる場面が続く。脚本のうまさであろう。マルクスとエンゲルスのテーマが現在の世界中の問題に通じるという監督の問題意識、二人の若さと思想の革命を描きたいという監督の意図がみごとに実現されている。
もうひとつの見どころは画像のすばらしさである。二人の活躍する場面がよく映されている。ドイツの深く暗い森、イギリスの工場街、パリの明るい活気のある通り、雪のブリュッセルと、いかにもここが、二人が暮らしそして闘った場所なのだ、と思うと感慨深いものがある。(終わり)
〔三重大学名誉教授〕

第1回第2回

映画「マルクス・エンゲルス」

ラウル・ペック監督作品/2017年、フランス・ドイツ・ベルギー合作、118分/カール・マルクス生誕200年記念作品/公開予定:5月12日(土)~=シネ・リーブル梅田☎06‐6440‐5930、6月9日(土)~=シネ・リーブル神戸☎ 078‐334‐2126

公式サイト:http://www.hark3.com/marx/


(兵庫民報2018年5月13日付)

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