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2018年4月15日日曜日

観感楽学

米映画『デトロイト』―五十年前に起きた米国史上最大級の暴動、白人警察官による黒人殺害事件という今も続く差別主義をリアルな映像で告発した。前作でアカデミー賞監督賞を受賞した女性監督は「映画は社会問題を浮き彫りにするための道具」と語る▼ベトナム戦争遂行のために国民にウソをつき続けた歴代政権の秘密文書を圧力に屈せず暴露した『ペンタゴン・ペーパーズ』。青木理氏は「悔しいが、米国のメディアとエンターテインメント界の底力を痛感し、うらやましく思う」と評した▼韓国映画でも支配層の腐敗、暴走を暴く『弁護人』『密偵』、光州事件を告発する『タクシー運転手』などが続く。日本でも同様の題材はあふれているのだが▼イラクなどに派遣された自衛隊員が在職中に五十六人も自殺。PTSD傾向は年間千九百七十六人、うつ病は八千九百八十八人にも。その自衛隊活動「日報」の隠蔽。森友文書の改竄、捏造。官邸と官僚の癒着。マスコミ首脳と官邸が会食を重ねる馴れ合い…▼山本薩夫『金環蝕』『不毛地帯』、今井正『真昼の暗黒』などのような権力を厳しく告発する映画が今こそ生まれてほしい。映画ファンとしての強い期待だ。(K)


(兵庫民報2018年4月15日付)

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